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物語性のあるブランドデザイン


写真のかわいいオブジェは女流陶芸家の田原形子さんの作品ですが、

写真の「灯台」という作品は、一目で気に入ってしまいその場で買いたかったのですが、いやいや、ここは主催者、沢山のお客さまに見て頂きたいし、気に入ったお客さま優先ということで、終了後にもし残っていたら購入させてもらおう。と心に決めていました。

さて展示会終了、人気は素晴らしくて遠方からわざわざいらしたお客さまも多く、60点以上の作品はほぼ完売という快挙でしたのですっかりあきらめていたわけですが、

搬出時に確認すると、「!!」

あるではないですか、そこに・・・・。このシリーズの中で一点だけ残っていたのが、まさに私が欲しかったものでした。

ということで一目惚れ作品は無事に我が家に連れて帰ってくることができました♡♡

田原さんの作品たち、マカロン怪獣みたいなオブジェや小さなおうち、秘密の小箱など、とにかく独創性に富んでいて楽しいのです!そして人の心の創造性を掻き立てる何かがある。

これが人気の背景ではないかと思います。

実際に生きているような、起っているような物語性を感じさせる。

その中で自分で物語りを作る楽しみ。

例えばこの写真のオブジェ

「灯台」という名前ですが、箱庭になっている。

灯台は海辺にあって、暗いときに光って、船から目印になって・・・・

・・・なんていう常識はいきなりぶっちぎり物語がはじまります。

灯台のある上部は蓋になっていて

外すと中には街が出現します。

道があります

階段があります

川があります

船が浮かんでいます

そして川はオブジェの端に続いていてくぐって抜けられる(と仮定された)穴があいている。

え「船」?

ああ!!

とここで「灯台」とリンクするのね。。と理解する。

内部にあった「船」は内部の川を渡って外界に出て、

そこで見つけたのは「自分自身」が灯台であったということ。

人生のようじゃないですか?

ゲド戦記やスターウォーズでもあるように、敵だと思っていたものは実は紛れもなく自分自身だった!

・・・みたいに。

話はそれましたが、

人生の旅路は本当に人それぞれですが

そこには共通の「感情」があります。

はじめて友達のうちにお泊まりして「楽しかった」こと。

はじめて親と離れて「寂しかった」こと。

勉強や部活が厳しくて「辛かった」こと。

でも根性で続けていたら一番になれて「誇らしかった」こと。

身近な人を失って「苦しかった」こと。

新しい誕生や出会いで「幸せを感じた」こと。

人間の感情は沢山あります。

本当の意味で心を打つもの

それは人間の普遍的な感情が揺さぶられたとき。

共感できることに対する感情

商品であれ、映画であれ、絵画であれ

時代を超えて永続しているモノやコトには、必ず情緒的な何かがひもづいています。

それを意図的に行うのがブランディングです。

意図的といっても端から端まで狙い通りでは面白みのない説明くさいものになってしまう。

そこに

「!!」

という右脳的閃きが組み合わさってはじめて感情が動くのです。

脳科学者の茂木健一郎さんはアハ(Aha)体験と言っていますね。

例えばシャネルの生きた時代。

コルセットは当時の女性にとって必需品でした。ウエストを少しでも細く、反対にバストやヒップを豊かに見せるために、紐でぎゅうぎゅうに締め付けるのが当たり前だったのです。

つまり男性から見た女性らしさをカタチにするために酸欠になってまで絞り上げた。

けれどシャネルは思います。「なぜ女性だけがこんなに苦しい思いをしなくてはいけないのか? もっと着心地が良く、快適な服は作れないのだろうか?」と。

そして彼女が目をつけたのが、当時紳士服にしか使われていなかった素材やデザイン、喪服にしか使われていなったブラック、柔らかい生地を使い、ウエストを圧迫せずかつシンプルなデザインのドレスやスーツを生み出しました。

当時の常識からしたら、まさに「Aha!!」ですね。

当時の女性たちの圧倒的な共感と支持を得、

「女性性の開放」とも言われ社会を変化させていきます。

ここに物語が生まれ、共感を生み、感情がわき起こる。

これがブランドが生まれる背景ではないかと思うのです。

デザインはそれ自体は作業の連続です。いかに線を引くか、どの色をつかうか、カタチをどうするか。きっとシャネルご自身も黙々と作業をこなす職人だったに違いありません。

けれど、どのようなコトを伝えるか、感じてもらうか、どのような感情を呼び起こし、どのような気持ちになってもらうかという考え方を含めてデザインすること。

それを共感し選んでもらうモノを作ること。

それがデザイナーの役割であると思っています。

左の写真はシャネルの手です。

左手にタバコ、右手に筆。黙々作業中・・・。

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