ロゴ&マークは必要か?
アメリカを発端にはじまった企業ブランディング。
資本金の10%をロゴデザイン費に。と大手企業ではこぞってCI(コーポレートアイデンティティ)つまりロゴ&マークの制作を行ってきました。
果たして本当に必要なのでしょうか?
多くの中小企業では「いや、うちはそこまでかけられない」「売るわけでもないものに資金をかけたくない」
・・・といった意見が正直な所ではないでしょうか?
簡単に名刺を作るついでに「適当にそれっぽく作っておいて・・」とおざなりに済ませてしまう会社も多くあるのではないでしょうか。
「ブランド」の意味の由来。
「ブランディングに必要なポイント」で書きました
「焼き印=Burned」でしたね
その焼き印のマーク。
Gを2つ反転させてグッチ。
黄色のMでマクドナルド。
かじられたリンゴでアップル社。
これこそ焼き印効果のマークそのものです。
※詳しくはロゴタイプとマークは違うものですが、話がややこしくなるので、ここではロゴ&マークとしておきます。
一目見て識別される目印。
まさに、ロゴ&マークが顔となり、ユーザーの記憶に残る。
さらには、名前は覚えてなくてもロゴ&マークはわかる!なんて時ありませんか?
ある調査では、
約60%の人が、企業ロゴがない、もしくは格好悪い場合には不安を感じるという意見を出しています。そして人は約80%の情報を視覚から得ているといいます。
逆にいうと、良質なロゴマークを持つことで、以下のメリットがあると言うことです
●視覚的に覚えてもらえる
●興味を持ってもらえる
●無意識に記憶にのこる
●宣伝効果がある
●企業のイメージをアップする
●メッセージを伝える役目する
●差別化できる
では、ここでひとつブランドロゴ&マークこばなしを。。。
スポーツブランドのナイキ。
皆さんご存知ですよね
社名の由来は、社員の一人ジェフ・ジョンソンが夢で見た、ギリシャ神話の勝利の女神「ニーケー (Nike)」
ナイキのロゴマークは「スウッシュ」と呼ばれ、勝利の女神ニケの彫像の翼をモチーフとしています。※スウッシュ(Swoosh)とは、「ビューンと音をさせる」という意味の英語。 デザインを手掛けたのは、創設者であるフィル・ナイトが会計学の講師をしていたポートランド州立大学で出会ったグラフィックデザインを専攻していたキャロライン・デビッドソン。
彼女が製図の課題をしていたところを捕まえ、ロゴのデザインを依頼。最終的にナイキが支払った報酬はたったの35ドルだったといいます。(驚)
ともかく数案の中から選ばれたこのマークでしたが、ナイキはその後もこのマークを使いどんどん業績をのばしていきグローバル企業として不動の地位を獲得しました。
12年の月日が流れ
ナイキ幹部と創設者フィリップ・ナイトから食事へ招待されたキャロライン。
感謝の言葉とサプライズプレゼントが送られました。
それは
彼女のデザインしたマークが刻まれたダイヤのついた金の指輪と
ナイキ社の株(約4700万円相当だと言われています)
ブランドロゴが、世界企業へと成長させたと言っても過言ではないナイキのロゴの逸話。 これもブランドを更に魅力的に魅せるエッセンスとして語り継がれるだろう粋な物語ですね。
一方で多額なロゴ開発費用を支払ったのはペプシコーラ
今年で創業140年を数えるペプシコーラは、これまでに合計12回もロゴのデザインを変更しています。驚くのが2011年に変更した今のペプシのロゴを制作する時に支払った制作費が約1億円。制作期間は5ヶ月間かけ、デザイン資料は27ページにも及びました。
ただ1億円を支払ったというのはマーケティングの一部の話題性集めとも言われています。
つまり、ただ単にロゴのデザイン料に約1億円かけたのではなく、そのデザイン料を広告費と考え、ペプシに興味を引かせるための口コミを意図的に広める仕組みづくりだったともいわれています。超大手企業ブランド戦略のなせる技です。
ロゴ制作費ベスト3
1位:BBCニュース 180万ドル 1億8000万円
2位:ニューペプシロゴ&2008年バラク・オバマロゴ 100万ドル 約1億円
3位:2012年度ロンドンオリンピック 66万5400ドル 約6600万円
途方もない額ですね。
オランダのアムステルダム大学が行ったブランドの影響力に関する調査ではロゴの資産価値という興味深いデータが出されており、ページトップに添付した画像がその企業のブランドロゴを金額化した表です。
下記にまとめると
【ロゴの資産価値】
1位:アップル 1043億ドル(約10兆円)
2位:マイクロソフト 567億ドル (約5.6兆円)
3位:IBM 549億ドル (約5.5兆円)
4位:Google 473億ドル (約4.7兆円)
5位:マクドナルド 394億ドル (約3.9兆円)
6位:GE 342億ドル (約3.4兆円)
7位:intel 309億ドル (約3.1兆円)
8位:サムスン 295億ドル (約2.9兆円)
9位:ルイ・ヴィトン 284億ドル (約2.8兆円)
となります。
デザイナーの立場としては言いにくいですが、
結局企業ロゴの資産価値というのは、その企業の有名度と比例したものになっているので、
費用をどれくらいかけて作ったとかはあまり関係がない。
885年から変化のないコカ・コーラや、創立者自らが発案し内輪でデザインしたために
実質無料ともいわれるGoogle。
上記のナイキやペプシの例でもわかるようにピンキリなのです。
ただどの企業にも当てはまる共通項があるとすれば、
その企業がしっかりとした企業理念を持ちそれを体現している企業であるということ。
ロゴ&マークはそれを的確に反映したもので、
見やすくシンプルで分かりやすいものであるということ。
つまりデザイナーは、プロとしてその企業の社会理念や存在価値を正確に理解し、
ビジュアル化する。
ロゴ制作にはそれだけの意味を込めて行う必要があるし
十二分に価値があるということなのです。